うちの子、なんだか不器用。
同い年の子は、もうボタン掛けができるのに。
この子の発達が気になるな。
手先の使い方は、普段の生活に直結しているので、ついつい気になってしまいますよね。
もしかしたらお子さんは、発達ゆっくりさん。なのかもしれません。
周りの子より、少し理解に時間がかかる。
周りの子より、少し落ち着きがない。
実はこのような子どもは、全然珍しくありません。
公立学校の通常クラスに在籍している20%の子が、発達ゆっくりさん。の可能性のある子と言われています。40人クラスだと8人もいるということです。
だから全然珍しいことではなく、むしろ普通です。
私は特別支援学級で主に自閉症スペクトラムの子と日々学習しています。
大人になって彼らがいきていく上で、最低限の生活スキルを身につけさせたい!と日々感じるようになりました。
そこでこの記事では、誰でも簡単にボタンをつけられるようになる方法を紹介します。
この記事を読めば、ボタンを掛けるために必要な指の使い方や、正しい手順が全てわかります。
ボタン掛けを習得する適齢期の3歳の幼児と複数の発達ゆっくりさんにボタンの掛け方を教える中で、正しい手順で練習すれば、楽しみながらボタン掛けができるようになりました。
誰でもできるボタン掛けの手順を紹介します。
ボタンを掛けられるようになる5ステップ
1 コインを貯金箱に入れよう
ボタン掛けと全然関係ない、と思うかもじれませんが
これが意外に難しい!
むしろこれができているなら大きいボタンなら掛けられる可能性は十分にあります。
コインは薄くて、つまむのに一工夫いります。
普段机の上に置かれたコインをどのようにつまんでいますか?
親指と人差し指で両はしをつまんでいますよね。
そのうえ、右から左にお金を持ち替えることもしていませんか。
もうこの工程がボタンを掛けることと同じです。
親指と人差し指を使ってコインを貯金箱に入れていたらステップ1は合格です。
ここで、コインをつまめない子は、ステップ1で練習の必要ありです。
急にボタン掛けではレベルが高すぎます。
先ずは、貯金箱にコインを入れる遊びを何度も経験させてあげましょう。
たまに親指と中指を使っている子がいます。
これは、THE ゆっくりさん。 あるあるです。
これからゆっくり時間をかけて、人差し指を使えるようにしていきましょう!
中指を使っていても貯金箱にコインを入れられたら合格です!
2 独立したボタンを掛ける
糸足を長くしたボタンをかけることです。
製法されたボタンと違い、弱い力でもボタンを穴に通すことができます。
まだ左手を上手く扱えない子どもでも、ある程度融通がきくため、ボタン掛けをする前には必ず踏んで欲しいステップです。
ボタンをつまむ
穴に通す
穴から引き抜く
穴から引き抜く時に、どちらの手を使っているのかよく見ていてください。
おそらく、右手ではないでしょうか。
これを左手でできるように声かけをしていきましょう。
両方の手を使うことは本当に難しいです。
何度も何度も練習して欲しいステップです。
ちなみに、紐通しと全く同じ原理です。
紐通しがお家にある方は、遊びに積極的に取り入れてきましょう。
これができているならボタン掛けができるようになるのは間近です!!
上手に指をつかえていますよ。
3 ボタンを掛ける
多くのゆっくりさん。がここでつまるので、心が折れないように沢山手を差し出してください。
初めは、大きなボタンから始めましょう。
ダイソーで売っている一番大きなサイズがこれ
サイズL (25㎜〜38㎜)を使ってひたすら魚をつなぎ合わせました。
お家に同じくらいの大きさのボタンがあるなら、それでやってみましょう。
ボタンをつまむ
↓
穴に通す
↓
右手から左手に持ち替える
いきなり1人でボタンを通すのではなく、
「まずは、ボタン穴に通せた!」
「次に、ボタン穴からボタンを引き抜けた!」
「右手と左手を使えるようになった!」
小さな成功体験を積み重ねさせることが、継続の秘訣です。
「この活動、嫌いではない」
と思わせられたら、できるようになります!
・ボタン穴を大きく開けて通す穴がはっきり見えるように
・ボタン穴を通した後、ボタンを支えて手を替えるよう声かけを
慣れてきたら自力でボタンを通せるように誘導しましょう。
ボタン掛け練習道具を作るのも面倒だし、家にもないなーという方は。
こんなものも売っていますし、フリマサイトでハンドメイド作品としても売っています。
お子さんが興味を持ちそうであれば、使ってみてもいいかもしれませんね。
このような練習道具をいくつか試した感想として、フリマサイトの方が使いやすいと感じました。
市販品の方が作りがしっかりしているため、ボタンが硬いです。
ハンドメイドの方が、いい意味で製法がゆるいので扱いやすいです。
4 置いてある服のボタン掛け
着ている服のボタン掛けは意外に難しい!
上から見下ろすので、ボタン全体がうまく見えないんです。
机の上に置いた状態でボタン掛けの練習をしましょう。
この時の注意ポイントは、服の生地とボタンの大きさです。
デニム生地などの伸びにくいものは扱いにくいので、綿生地だといいですね。
ボタンもできるだけ大きなボタンから始めましょう。
大きなボタンができるようになったら段階的に小さいボタンに移行していきましょう。
5 着ている服でチャレンジ!!
さあいよいよです!!
どのボタンから掛けますか??
一番上?一番下?それとも真ん中?
一番下です!
ゆっくりさん。達にとっては右と左の物をリンクさせることって難しいことです。
だからよくボタンを掛け違えてしまいます。
その時「ボタンをよく見なさい!」
とついつい言ってしまいたくなりますよね。
すっごい見てるんですよ。
見ても間違っちゃうんです。
どうやったらそこに掛けれるん?となる掛け方をしゃうんです。
でも、彼らはいたって真面目なんですよね。
そこがまた可愛いくて、お助けしたくなってしまいます。
慣れてくるまで下から順番にボタンつけをするよう声かけしましょう。
ボタンとボタン穴の色が同じだと、より一層ボタンを掛け違えることが減ると思います。
そんなボタンかけの練習着として、西松屋でこんなものも販売されています。
ボタンの大きさもちょうどよく、練習にはうってつけです。
ボタンを掛けるといっても、これだけの指の操作が関わっています。
発達ゆっくりさん。にとっては大作業なのでスモールステップで練習しましょう。
ボタン掛を掛ける機会は、年齢を重ねるにつれ回数が増えてきます。
・小学校では、給食の当番着。
・中学校高校では、制服。
・社会人では、Yシャツ。
また普段着用する服においても、ボタンがついた服の種類が年齢とともに増えてくるため、習得したい必須スキルといっても過言ではありません。
大きくなってから練習することは、子どもも親も大変です。
できれば小学校時代までには習得しておいて欲しい生活スキルです。
しんどくならないために
1 スモールステップ
普段私たちは、何気なくボタンを掛けていますが
ボタン掛けには、こんなにたくさんの指先を使った技術が必要です。
ボタン掛けの練習が嫌だ!とならないために、スモールステップで練習しましょう。
「いや」
「しんどいこと」
「怒られること」
と、彼らに認識されてしまったら、そこから習得までの道のりは長いです。
「少し頑張ればできる」くらいの課題を短時間で設定しましょう。
2 習慣化してしまう
発達ゆっくりさん。達は習慣化、ルーティーンというものにめっぽう強い!
これは、今まで出会ってきた子全員がそうでした。
初めてした課題では、大暴れで荒れ狂っていたのが
1週間ほど経つと、ウソのように習慣化されてしまいます。
ボタンを掛ける練習を習慣化してしまうと、後は楽チンです。
微妙に課題の難易度を上げていくだけです。
3 めちゃくちゃほめる
え。当たり前。
そう思われた方、多いはずです。
当たり前だからこそ、忘れがち。
少し年齢的に大きくなってきたお子さん達なら、特にです。
普段から、小さなことで
“怒られる”
“できない”
経験を多く積んできた彼らの自尊心は、想像以上に低めです。
これでもかとばかりに、大きなリアクションでお願いします。
発達がゆっくりな子を育てることは本当に大変です。
周りと比較してしまったり、感情的になった自分に罪悪感を感じてしまったり。
そんな苦しい毎日の中で1つでも、夜眠りにつく前に
「これを頑張った」
「今日も自分、1日お疲れ様」
そう思える毎日にしていきましょう。
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